ヘイセイラヴァーズ

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エースは多いに越したことはない(Hey!Say!JUMPライブDVD『DEAR.』感想②)

ヘイセイジャンプにはエースが二人いる。一人と見せかけて二人。山田といのお。対極のエース。北極と南極。陽と影。スウィートとビター。唯一の共通点は「美形」だけ。

 初めてヘイセイジャンプを見るとき、「あー山田のグループかー。」というなめくさった気持ちから入る。だがそこで大きな誤算がある。それはその山田がよく出来たAI(人工知能)であるということ。そう、山田は悪魔に魂を売って人間として暮らしているAI(人工知能)なのだ。緑の瞳と首にはいったタトゥーがその証拠。そしてこの山田AI(人工知能)の一番の危険性は開発史上初「あたたかみ」を持つAI(人工知能)であるという点。

 山田のおでこに「ブスでも好きになっていいよハート」と書いてあるのはもはや一般常識。だけどもちろん山田はブスなんて言わない。むしろ言ってくれと、お前のようなブスはお断りだと言ってくれと、泣きながら何人の女の子が地獄に堕ちて行ったことか。山田は優しく愛情深い。どんなジュリエットに対しても。その上小さい体でもでっかいことを惜しげもなく示してくれる。あたたかすぎる。そしてそれゆえ残酷だ。あのツラでこのあたたかみはもはや最終兵器彼氏。

 AIのAはあたたかみのA、AIのIはIDOLのI。アタタカミアイドル山田……。笑っていられるのも今のうち。

 そうして堕ちた地獄の底で待ち構えているのはいのおというワナ。このワナにはまると長くて深い。時に致命傷を負う。まずくちびる。どうにもならないユルさ。あとくちびる。普通さが見え隠れするところ。さらにくちびる。どれくらいの人が翻弄されるか絶対わかってやっている「てきとー発言」。もちろんくちびる。なんでもいいと言いながらがっつり選んでいるその感じ。身体の細さ、髪の柔らかさ、ベットアイズ。そしてとにかくくちびる、なんといっても。

 山田が悪魔に魂を売った男なら、こいつはまさに悪魔の手先。確実に死ねっという気持ちで、しかも最悪自分も死ねばいいよっという最も怖い犯罪者タイプのモチベーションで、無差別に発散されるそのエロさ。毒ガス。これはこれで最終兵器彼氏。

 この二人がヘイセイジャンプの対極のエース。

 希望と絶望。

 誠実と不実。

 誠心誠意と投げやり感。

           

 間口は広く、奥でがっつり。そういう二段構えの兵器を使うのはよくないよ。ゴキブリホイホイじゃないんだから。私たちのような素直(バカ)で健全(色気に弱い)な民衆はそれにあらがえるすべをまだ知らない。