ヘイセイラヴァーズ

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きたないはなしになるからAh(Hey!Say!JUMPライブDVD『DEAR.』感想⑦)

 本当の妄想の話をしよう。甘くて少しほろ苦い、本当の妄想。今更だけど、避けては通れない話題だから。

 ヘイセイジャンプの妄想はかさばる。なにしろいちいち九通り考えなくてはいけないから。これがいやまったくほんとに……やりがいある(さんきゅーな)。

 九人合わせてデートなんか何百回としたし、キスなんて何万回したかわからない。クリスマス、年末年始、誕生日などの年中行事は数週間でこなし、反抗期の様子から風呂の入り方まで家族よりくわしい。生理の時はなぐさめてもらい、もちろん夜のお誘いも何度も受けた。子どもが生まれたらどうなるかなどとなまやさしいテーマではなく、子どものいじめ問題まで力を合わせて解決した日には、さすがに本人たちすらを追い越した感があった。たぶんもう、彼らの行動パターンを彼ら自身よりも把握している気がする。この妄想エネルギーをすべて結集させたら、なんだかんだで最終的に世界平和を狙っていけると思う。

 私たちの妄想は自分たちの理想のことばを理想の人に言ってもらう体制を取っていない。その人がしそうな行動を公正に検討し、それをあるがままに受け入れていくスタイルだ。DVDはもちろんテレビ、雑誌のインタビュー、インターネット記事から流出写真に至るまで占い師かと思うくらい真剣に意識を集中させてその人の性格と行動を読む。このやり方を徹底してる。

 その行動に対して自分がどう思うかを考えるので、結局自分と向き合うことになる。ヘイセイジャンプを見ているようで自分を見つめている。自分が本当に求めている意外なものがわかったり、新しい自分を発見したりして、妄想というよりもカウンセリング。

 そして妄想の出来を測る基準は、その日の夜DVDをまっすぐみられるかどうかということ。ときめく妄想が出来た日はDVDごしでもあっても相手の彼をまっすぐ見ることが出来ない。妙な照れと謎の少しの誇らしさゆえ。

 もうこれは、妄想というよりパラレルワールド。別次元で同時に存在している九つの世界。そこには九人それぞれと恋人同士の私たちがいる。何かのはずみで接続が合えば、そっちが現実になるのではないかと錯覚するほどのリアリティ。

 こんなにはっきり言ってしまうのはどうかと思うんだけど、やっぱり妄想は最高の時間ってことで間違いないと思う。妄想だけで人生が終わればいいのに。妄想が人生で、人生が妄想。いや、ある意味ではそうか。妄想だけが人生だ。たまたま接続がぴったり合っている十通りめのこの世界をしばらく現実として生きていくことにする。