ヘイセイラヴァーズ

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もちろん花より何より男子in NY(1/14宝塚宙組『WEST SIDE STORY』感想③)

 「妄想じゃなくて リアライズ触れてみたいよ 体じゃなくてその心」※

 そんな風に思っているのはむしろ男子だけかもしれない。女子はいつでも体。実は女子は男子の体だけをいつでも求めているものなんだ。

 私はこの作品を見て、女でいることがつくづくイヤになった。男子は暴力的で話も下ネタばっかりでアホだなあと思っていたら、女子の方がよっぽど恋と男のことしか考えていなくて、頭が本当にカラッポなんだもん。

 まずアニータ(和希そら)。彼女はもう開き直ってそのことを武器にして、自分のために使ってる。たしかに潔いけど私はいい女なのよと言わんばかりのその態度は鼻について、やっぱり私は気にいらない。

 そしてマリーア(星風まどか)。彼女は言う。「トニー(真風涼帆)がいなくなったら私には何もない」と。「トニーが私のすべてだ」と。本当にそれでいいのかマリーア?たしかに運命の人と二人で生きていくのは素敵な事だ。だけどとはいえ、自分には何もないと思ってしまっていいのか?あるよ、マリーアには。可愛い容貌も素直できれいな心もある。それなのに恋のせいで彼女が「私には何もない」と思ってしまっているのが悲しかった。

 さらにヴェルフ(綾瀬あきな)。彼女はジェッツのメンバーから「頭カラッポな女なんかに何を聞かせてもしょうがねーよ」みたいに罵倒されるんだけど特に何も言い返さない。余裕の笑みを浮かべるだけ。いかにも、何か言い返せることは考えついているんだけどあえて何も言わずにふざけて場をなごませているんですよという顔を常にしているが、実際には”本当に”なにも考えついてはいなくて頭の中は「・・・・・」なのだ。男子のためにバカなふりをしていたら本当にバカになってしまったんだろう。

 どこまでも平行線が続く男女の対立。

 その原因は、結局女子は常に男子の体を求めているから。夢なんか見てない。そのことでたとえ自分を少し損なっていたとしても、女子はなるべく良い遺伝子を求めてじりじり繁殖を目指してる。はあ。自分の中にも賛否両論あるけど、とりあえずこの舞台の上の本能的で野性的な彼女たちを見ているとそう思わずにはいられない。なぜなら。

 彼女たち三人はそれぞれこの舞台の最後では恋人を失った。だけど男たちが戦って死んだあとも彼女たちはしぶとく生き続けるはずだから。

 

※「愛よ僕をみちびいてゆけ」Hey!Say!JUMP より