駄菓子(味覚にまつわる短編小説④)
また雄也は息子三人組と部屋のすみでこそこそ何かやってる。
いい匂いがしてるから、たぶん何か食べさせてる。
この匂いは......ぶためん?なんかこれに梅ジャム入れたらおいしいとかへんな食べ方教えてない?三人ともむせてるけどね。
男の子はこうやって挑戦する勇気を教わるんだな。ママの知らないところでたくさん失敗するんだな。
たぶんママにばれたら、ごはん前に食べるな、パパも食べさせるなって一息でぶちぎれるだろうから内緒にしておいてあげる。三人組がいつかこんな風にこそこそパパと秘密のおやつを食べた思い出に、優しく支えられる日が来ると思う。