ヘイセイラヴァーズ

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最終目標は第六感の開花(あいみょんに寄せて①歌詞の分析)

 

 あいみょんの歌詞の秘密は「聴覚」にある。

 『君はロックを聴かない』より以下の箇所を聞いてみてほしい。

「君はロックなんか聴かないと思いながら 少しでも僕に近づいてほしくて」

また、『愛を伝えたいだとか』の以下の部分。

「健康的な朝だな こんな時に君の愛してるが聞きたいや

 自分の内面的な思いを吐露するでもなく、相手の気持ちを推し量るでもなく、彼女は”耳で”恋をしている様子をひたすらに歌う。耳からの情報を一番に重視するその癖(ヘキ)はさすがミュージシャンと言わざるをえない。

 そして彼女が歌っているのはいつも叶わない恋。なぜそう思うかというと、いつも「聞く/聴く」ことが否定されているから。ロックを聴かない趣味の合わない思い人と、愛しているを聞きたいときに絶対言ってはくれない恋人。彼女の歌の中で、「恋が叶わない」ことと、「きかない、ききたいけどきこえない」ことは同じ意味だ。それも軽い感じを装っておそるおそる提案してはあっさり断られているこの切なさよ。

 また『ふたりの世界』の歌詞の以下の部分では、

あなたの声だったり笑い方が好き」

と、好きな人を思い出すときに姿よりまず真っ先に声を思い出している。ここでもまた、彼女は五感のどれよりも"耳”をフルに使って恋をしていることがわかる。

 ちなみに私は、視覚頼りの人間だ。すぐに顔を見て確かめたくなる。目の前で動いていてる姿を見ていないと安心できない。見えているものこそが愛。百聞は一見にしかず、なんだよね。重いね。

 だから彼女の曲を聴くと反省する。私は視覚だけじゃない、しかも聴覚だけじゃない、五感を使って恋をしていただろうか?大切なことはね、目にはみえないんだよ。あいみょんの歌を聴いている間中、誰かが私の耳元でそうささやく。 

 彼女の歌を聴いて思うようになった。好きな人の声を、好きな人が立てる音を、私もできるだけ長く聞いていたいと。これからはもっと聞いて、味わって、触って、嗅いで、そうやってたくさんのことを感じようと、そう強く決意しながら、今夜も目を閉じて。