ヘイセイラヴァーズ

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男役が演じる女役の凄味(宝塚宙組『天は赤い河のほとり』感想)

 私がずっと気になっていたのはネフェルティティ(澄輝さやと)。若い子たちは大丈夫。好きな人といればこれから幸せになっていく。どの時代を選んでも、それは変わらない。だけどネフェルティティは(それにしてもすごい名前だな)、これまで何十年もずっと思いを寄せる人を忘れられずにここまで来ている。禁断の恋の相手の弟のマッティワザ(愛月ひかる)は、すっごく悪っぽくてかっこいいけど、そして姉の事を気にしてはいるけれど、その実かなり楽しんでいる。自分のための場所をその時々で見つけながら、自由に生きている。

 ずっと胸に同じ人への思いを秘めて生きるとはどんな気持ちなのだろう。彼女たちは心の中で何を育てているのだろう。愛?恨み?過去の思い出を?

 私はネフェルティティに教えたくなった。弟は結構楽しく生きていますよ、と。あなたも心配せず、今を生きてほしい、と。

 もどかしいです、私は。もったいないのです。あなたはとても美しいのです。そんな言葉も届かないほど彼女は遠くに行ってしまっているのだろうか?