ヒマについて(エッセイ②)
忙しい。毎日ほんとに忙しい。完全に心を亡くしてます。たっぷりOL業通勤ご飯お風呂家事、時間がマジでない。女子力ってなにそれオイシイノ状態。そりゃ髪乾かすのも雑になります。服も適当になってきます。イカンイカン、これは鬱の循環。オーエルイントーキョーはとにかく忙しいってハナシ。
大学に通っている時飲み会に行くと必ずひとりは自分がどれほど忙しい時間を縫って今ここに参加しているのかっていう自慢してるやついたよなあ。あいつら今も忙しくしてるのかなあ(ご丁寧なイヤミ)。自分がどれほど色々なところから必要とされているか。あんた、そんなに無理しなくても、と酔った頭で思いながらも、少しうらやましかったりしたものです。
でも今になると思う。ヒマ。これこそが一番の財産だ。「うわ~なーんもすることね~!!」これこそがどんな宝石より金銭より(?)自分が一番求めているものだと。
「ぼんやりしている心にこそ恋の魔力が忍び込む。」
シェイクスピアはそういった。たぶんそれは真実だ。シェイクスピアが言うことだもの。そしてきっと恋だけじゃない、あらゆるステキなことはヒマの隙間にやってくるから。
単純にヒマそうな女の子たちはかわいいしね。何にもしないで足ぶらぶらさせている子を見ると声をかけたくなる、誰だって。
ヒマしようっと、もっと。私1人がヒマしたところで地球の自転が止まるわけでもないんだし。せいぜい公転が滞るくらい。それは秋に取り返すとしてぼーんやりしよう。新しいことはしないで同じ本を繰り返し読もう。アイスでも食べよう。新しい水着を持ってプールでも行こう。……はっ、またヒマな時間を埋めようとしてしまった。イカンイカン、何もしないようにしなくっちゃ。
そんなふうにヒマになったらどうするかということばかりぼんやり考えている今の私は、もしかしたら案外ヒマなのではないかとも思うんだけど。
ヒマそうな女の子がかわいいミュージックビデオをここで。
どこか遠くの都会から遊びに来たあの子が町にいた夏休み。
他の荷物はなーんにも持たず文庫本一冊だけを持ち歩いていた。
僕はその本のタイトルすら、彼女に聞くことはできなかった。
読み終わった後、彼女が秋に向けて、何を決意したのかも、もちろん聞けないまま。
さらに。
あなたの帰りを待つだけの日々をこんなにしあわせに感じるなんて。
私はこの気持ちがなくなる日が必ずくるだろうということが怖い。
だけど今はこのままでいよう。今日の夕食のことだけを考えよう。
すべてはその日が来てから、考えよう。
夏はヒマするのにもってこいだ。どうせ脳みそまで溶けて何も考えられないし。