アラサーOL、花晴れにハマる(ドラマ『花のち晴れ』感想 後編)
TVで宇多田ヒカルの「プロフェッショナル仕事の流儀」をぼんやり見ていた。カメラはレコーディングの様子を追って、彼女は「初恋」という曲についてこれから演奏を録音する楽器奏者たちに説明していた。
「この曲は恋の喜びの歌でもあり、終わってしまった後に初恋だったんだと気がつく歌でもある。」
この言葉を聞いて「花のち晴れ」というドラマの主人公は馳天馬だったことを私は知る。彼はずっと、音に切ない恋をしていた、たしかにしていた、ずっと昔から。そんな音の手を彼は最後まで離すべきではなかったのだ。だけどそんなふうに叶わない恋にも意味はあったのだと、そんな恋に出会えただけでも幸せだったのだと、思うことのできるとても悲しい日が彼にくることを、すべての失恋にくることを、私は願う。