ヘイセイラヴァーズ

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頭の中の君はまるで(Hey!Say!JUMPライブ感想)

 ダンスのコンテストでプロが卵たちにアドバイスをしていて、その内容というのが「技術が同じくらいのレベルの人たちの中で頭ひとつ抜け出すには、どうしようもなく痺れる、忘れられないくらいにかっこいいシルエットなり表情なりがパフォーマンスの中にあるかどうかという魅せ方が重要」というものでとても感銘を受けたのだけれど、それが本当ならば彼らはやっぱりものすごいプロフェッショナルだった。

 私が頭から離れないのはメンバーが三列に並び、全員でジャケットの肩を外して半脱ぎ状態で音に合わせて左右に揺れるという振りで、それの何が良いかというと、その振付が終わると思ったタイミングからさらに数ビートその動きが続くというところなのだ。いわばフェイントですね。女の子はフェイントに弱いですね。

 ライブを頭の中で思い出すときにこの一つの振付の映像を中心に全体の記憶が広がっていくので、一瞬の力、その集中力と瞬発力は本当に大切なのだとわかる。脳内にジュッと焼きゴテを押し付けられたようなひと場面。雷で打たれたようなその衝撃。

 そしてそういう一瞬にすべてを賭けるという気持ちはファンも一緒で、ライブのために髪型を考え、洋服を考え、席はどこか、周りに同じメンバーが好きな子がいれば無言のエールを送り合いまたはジャブを打ち合い。こっちが出演するわけでもないのに意味もなくメイクを直し、席に座ってみたりペンライトの調子を確かめてみたり。集まった全員がそんな感じで、あんなにわくわくが集結した多幸感のある空間はちょっと他にはないのではないかと思う。

 だけどまあそんなことを落ち着いて思い出せるようになったのはやっと最近で、直後はまさにビタミンC注射をバッチリキメたあとという感じ。私のその日の日記のページにはただ一言「銀杏」と絶筆のように書き残されていた。きっと彼らの身体が小さくてぎゅっと引き締まっていて、そして笑顔がツヤツヤだったということを言いたかったのだろう。イケメンは劇薬だなあ、あんまり乱用してはいけないなあ、しばらくはきしめんみたいな男の子の顔を眺めて暮らしていこうと心に決めた私であった。