ヘイセイラヴァーズ

本、舞台、映画、歌、短編小説、エッセイ、アイドル、宝塚歌劇、など、、、☺

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

紺色の夜に(短編小説)

白い大きな猫が、通りの真ん中を通り過ぎて行った。美しい歩き方のシルエットを暗闇に残して。 あいつは猫とタバコが何よりも嫌いだった。どちらも何でできているかわからない、というのが彼の言い分だった。私がタバコをくわえたままで猫を可愛がったりする…

その煙のようないくつかの思い出について(エッセイ)

Girl, do you want it now? そう言いながら近づいてくるSnowManのCrazy F-R-E-S-H Beat の冒頭の振り付けが頭にガツンときた。くわえていたタバコを指でつまんで足元に捨てるその動きは、私はタバコが好きだということを思い出させた。タバコそのものという…

恋とネットワークについて(エッセイ)

ラインという便利なアプリがこの世にはあって、それは私たちの生活を柔らかく縛る。 学生時代の元カレのラインのプロフィールにDISH//の歌が設定されていて、私は彼らの音楽を知った。 メンバーがイケメンでモテそうだから一見わかりづらいけれど、彼らの音…

海を泳ぐ(短編小説)

私はTVの電源を切り、窓を少しだけ開けて流れ込んでくる外の風を吸い込んだ。 五月にしては暑い空気のどこかから虫の声が聞こえて、私はいつかの夏休みに泊まった祖母の家を思い出す。田舎の夜はやたらと暗く、窓から身を乗り出して伸ばした自分の手の先す…