ヘイセイラヴァーズ

本、舞台、映画、歌、短編小説、エッセイ、アイドル、宝塚歌劇、など、、、☺

2020-01-01から1年間の記事一覧

記憶の中にしかない店(エッセイ)

その居酒屋は、渋谷駅を降りてタワーレコードに向かう途中のビルの5階にあった。 海の底をイメージしているのだろう、青っぽい照明とゴツゴツした岩に囲まれているようなデザインの店内。真ん中は広いフロアになっていて、かなり大勢で行っても座れるような…

紺色の夜に(短編小説)

白い大きな猫が、通りの真ん中を通り過ぎて行った。美しい歩き方のシルエットを暗闇に残して。 あいつは猫とタバコが何よりも嫌いだった。どちらも何でできているかわからない、というのが彼の言い分だった。私がタバコをくわえたままで猫を可愛がったりする…

その煙のようないくつかの思い出について(エッセイ)

Girl, do you want it now? そう言いながら近づいてくるSnowManのCrazy F-R-E-S-H Beat の冒頭の振り付けが頭にガツンときた。くわえていたタバコを指でつまんで足元に捨てるその動きは、私はタバコが好きだということを思い出させた。タバコそのものという…

恋とネットワークについて(エッセイ)

ラインという便利なアプリがこの世にはあって、それは私たちの生活を柔らかく縛る。 学生時代の元カレのラインのプロフィールにDISH//の歌が設定されていて、私は彼らの音楽を知った。 メンバーがイケメンでモテそうだから一見わかりづらいけれど、彼らの音…

海を泳ぐ(短編小説)

私はTVの電源を切り、窓を少しだけ開けて流れ込んでくる外の風を吸い込んだ。 五月にしては暑い空気のどこかから虫の声が聞こえて、私はいつかの夏休みに泊まった祖母の家を思い出す。田舎の夜はやたらと暗く、窓から身を乗り出して伸ばした自分の手の先す…

ひとまずエピローグ。ヘイセイラヴァーズ。

「お姉ちゃんは、恋が好きなんだね。」 このブログを読んでいる妹からのこの一言は、さすがにガツンと来た。さすが妹。同じ腹から生まれただけのことはある。そう、私は恋が好きだ。このブログを書いていて自分でも初めて知った。 いや、もっと正確に言おう…