ヘイセイラヴァーズ

本、舞台、映画、歌、短編小説、エッセイ、アイドル、宝塚歌劇、など、、、☺

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

男役が演じる女役の凄味(宝塚宙組『天は赤い河のほとり』感想)

私がずっと気になっていたのはネフェルティティ(澄輝さやと)。若い子たちは大丈夫。好きな人といればこれから幸せになっていく。どの時代を選んでも、それは変わらない。だけどネフェルティティは(それにしてもすごい名前だな)、これまで何十年もずっと…

マジで引きずりすぎ(『君の名前で僕を呼んで』感想)

始めにたくさんの予防線を張らせてください。 私は同性が恋愛対象という訳ではありません(たぶん)。だから、本当に同性を好きになるという気持ちが理解できるわけではないかもしれない。 私は腐女子ではありません(そうか?そうか?)。だから、とにかく…

ホテル・ホテル・ホテル(村上春樹ブッククラブに参加せずに)

課題図書:ダンス・ダンス・ダンス 村上春樹の小説を読むといつも思う。主人公の男はどうしていつもこれほどまでにまともなのだろう、と。風呂に湯をはってそこにつかり、出かける前は歯を磨き髭を剃り、派手でない車で出かけて、ビールを飲んで料理をして、…

村上小説の思い出(エッセイ)

村上春樹の小説を読むと思い出すのは、彼のことだ。 村上春樹を崇拝していた彼。出会ってすぐにそのことで意気投合して、しばらくの間とても親しい友だちだった。何度か一緒に飲みに行って、酔っぱらって彼の部屋に転がり込んで、だけどあまりにもなにもない…

続・失われた皮むき器について(短編小説)

手に入れたものはいつか必ず手放すときがくることを彼は知っていた。そして一度手放したものは少しずつ忘れていつか思い出さなくなるときがくるということを。 皮むき器がなくなっていることにショーが気が付いたのは、彼がマッシュポテト作りに取り掛かろう…

旧姓木野(短編小説feat.村上春樹『木野』)

私は俗だ。私は俗な人間の代表で、彼はもう透明になりかかっていた。毎日一緒にいたのに。 私が浮気をしたのは、彼を傷つけてみたかったからだ。彼が私の浮気を知り、めちゃくちゃに傷つくことを夢見ていたといってもいい。でも実際はどうだったか?あのエッ…

正しいことと正しからざること(村上春樹ブッククラブに参加して)

課題図書:『木野』 その日私は、彼氏と大喧嘩中だった。 前の夜に電話で喧嘩して、電話を切った後に大泣きして、あまりよく眠れないまま、朝その本屋に向かった。せっかく楽しみにしていた日だったのに、最低の気分で。 だけどその日の課題図書『木野』を読…