ヘイセイラヴァーズ

本、舞台、映画、歌、短編小説、エッセイ、アイドル、宝塚歌劇、など、、、☺

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

しきつめられたマリーゴールドの上で(映画『リメンバー・ミー』感想①)

ミュージシャンは、この世で一番才能が必要な職業だと思う。 まずもちろん歌はとびきりうまくなくてはならない。さらに何かしらの楽器ができて、メロディも思い浮かべば詩のセンスもあって、そしてビジュアルも人並み以上に良いか個性的でなければ、なれな…

apollons on the slope(映画『坂道のアポロン』感想)

長崎ちゃんぽんのことを、よしもとばななはこう説明している。 「ちゃんぽんというのはほんとうに難しい代物で、まず長崎のちょっと濡れたような、でも昼はからりとしているような独特の気候や雰囲気にいちばん合っている。」※ まさに長崎はそういう独特の…

マジョリティの意見を聞いて?(ドラマ『アンナチュラル』感想)

豊作と評される今季のドラマの中で、視聴者満足度ナンバーワンは『アンナチュラル』だったと聞く。私もご多分にもれずそう思う。マジョリティ万歳。 ストーリーとかトリックのおもしろさはもちろん、このドラマはものすごいバランス感覚で成り立っていたと思…

赤いワイン(あいみょんに寄せて②短編小説)

「お風呂からあがったら少し匂いをかがせて まだタバコは吸わないで赤いワインを飲もう」 あいみょん『ふたりの世界』より お風呂からあがった彼の背中が、愛しすぎて私は気が狂いそうになる。タオル一枚だけが巻きついた、まだ水滴がしたたっている身体。彼…

最終目標は第六感の開花(あいみょんに寄せて①歌詞の分析)

あいみょんの歌詞の秘密は「聴覚」にある。 『君はロックを聴かない』より以下の箇所を聞いてみてほしい。 「君はロックなんか聴かないと思いながら 少しでも僕に近づいてほしくて」 また、『愛を伝えたいだとか』の以下の部分。 「健康的な朝だな こんな時…

ココア(味覚にまつわる短編小説⑥)

冷蔵庫の上においた籠の中に、自分で入れたココアの粉に手が届かなかったとき、俺は少し泣いた。高いところに投げ入れた過去の自分に、あとはその他いろいろに対して。 自分で言うのも悪いけど、俺は気を使って生きてると思う。小さいころからずっと。仕事を…

巨峰サワー(味覚にまつわる短編小説⑤)

知念くんは酔っぱらって今夜もまた男も女もトリコにしてる。誰彼かまわずひざまくらしてもらってる。何をしてても許されてる。だけど目がギラギラしてる。 私のひざの上にもコテンと頭を乗せてくる。私は持っていたお酒をテーブルに置く。顔に水滴がかかった…

駄菓子(味覚にまつわる短編小説④)

また雄也は息子三人組と部屋のすみでこそこそ何かやってる。 いい匂いがしてるから、たぶん何か食べさせてる。 この匂いは......ぶためん?なんかこれに梅ジャム入れたらおいしいとかへんな食べ方教えてない?三人ともむせてるけどね。 男の子はこうやって挑…

舞台『薔薇と白鳥』が楽しみすぎて

八乙女光は舞台の人だ。 とタンカをきってはみたものの、私は彼の舞台を見た事はない。 だから、予想。 八乙女光は舞台の人だ、ろう。 これが正しい。 だけど私はあえて言おう。 八乙女光は舞台の人だと。 なぜか? 彼が4年前に出た舞台『殺風景』の舞台レビ…

ラーメン(味覚にまつわる短編小説③)

ケイくんってめちゃくちゃおしゃれだよね? ん?そう?って言いながらケイくんはラーメンに目が釘付けになってる。四限が終わった後のこんな時間にお昼を食べてる人なんて私たちの他に誰もいない。 なんでだろう?帽子かな? 私は分析しようとするけどケイく…

カレー(味覚にまつわる短編小説②)

二度目にだいちゃんの部屋で目が覚めたのは、カレーの匂いがしたから。 ベッドからだいちゃんを見ると、台所でカレーを作ってた。しかもレトルトじゃない、スパイスを何種類も使った、本格的なカレー。 私はひざから崩れ落ちた。ワンナイトラブの翌朝に本格…

コロッケ(味覚にまつわる短編小説①)

初めて入った彼の部屋はとにかくだだっぴろくて、雨の匂いがした。ヤブくんは慣れたようにカバンを置いてネクタイをゆるめてる。カーテンくらいつければいいのに、と思ったけど、他の家の窓ははるか下の方にあるからその必要はないのかもしれなかった。 ここ…

トゥナイトにその一歩を(1/14宝塚宙組『WEST SIDE STORY』感想④)

私がこの舞台をみて一番印象的だったのは、トニー(真風涼帆)とマリーア(星風まどか)がダンスパーティーで出会ったその日にキスまでしてしまったこと、、、ではなくてそれを見ている観客の反応が「あ~まあそういうことって、あるよね~」的な雰囲気なの…

もちろん花より何より男子in NY(1/14宝塚宙組『WEST SIDE STORY』感想③)

「妄想じゃなくて リアライズ触れてみたいよ 体じゃなくてその心」※ そんな風に思っているのはむしろ男子だけかもしれない。女子はいつでも体。実は女子は男子の体だけをいつでも求めているものなんだ。 私はこの作品を見て、女でいることがつくづくイヤにな…