ヘイセイラヴァーズ

本、舞台、映画、歌、短編小説、エッセイ、アイドル、宝塚歌劇、など、、、☺

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

オモシロキ コトモナキヨヲ オモシロク(宝塚星組『ANOTHER WORLD』感想)

この真実は、果たしてこの世でもあの世でも同じみたいだ。 あの世(アナザーワールド)で繰り広げられるこの舞台は、オモシロクできるところは貪欲に、でもそれ以上に、オモシロキコトモナキ何気ない会話の言い方一つ、仕草や表情の一つを取っても、出演者全…

インタビューかえるくんについて(短編小説feat.『かえるくん、東京を救う』)

おう、俺はかえるや。正真正銘、どっからどう見てもかえるやで。え、わかってるって?なんや、それならなにしにきたんや?おおう、わかってる、みなまでいうな。俺に取材したいんやな?かえるの生活、梅雨以外はどうやって暮らしてるかってな?それきになる…

もういいから、踊れ!!(村上春樹ブッククラブに参加して③)

課題図書:『神の子どもたちはみな踊る』 「神様、と善也は口に出して言った。」 小説はこの一文で終わる。 この場合の神様は何をさすか? 最初これは善也の中の倫理観、価値観、道徳のことだと思っていた。自分の中にいる神様的存在に呼びかけているのだと…

アラサーOL、花晴れにハマる(ドラマ『花のち晴れ』感想 後編)

TVで宇多田ヒカルの「プロフェッショナル仕事の流儀」をぼんやり見ていた。カメラはレコーディングの様子を追って、彼女は「初恋」という曲についてこれから演奏を録音する楽器奏者たちに説明していた。 「この曲は恋の喜びの歌でもあり、終わってしまった…

劇評『薔薇と白鳥』

RESPECT WONDERLAND/ROSE & SWAN ◎私たちの生きる現実は舞台の上の演劇と同じなのか メタフィクションというジャンルをどのくらいの人が知っているだろう?ネットでそれは「フィクションについてのフィクション、小説と言うジャンル自体に言及・批評するよ…

ヒマについて(エッセイ②)

忙しい。毎日ほんとに忙しい。完全に心を亡くしてます。たっぷりOL業通勤ご飯お風呂家事、時間がマジでない。女子力ってなにそれオイシイノ状態。そりゃ髪乾かすのも雑になります。服も適当になってきます。イカンイカン、これは鬱の循環。オーエルイントー…

アオハルかよ…(『桐島、部活辞めるってよ』感想)

高校を舞台にした小説がニガテだ。もっと言えば、漫画も映画も舞台もニガテだ。心がキューっと掴まれているような気持ちになる。または肩を持ってガタガタ揺さぶられているような。だからニガテだった。この小説も好きになれないだろうと思っていた。 スクー…

文書2(短編小説feat.村上春樹『スプートニクの恋人』)

小学校を卒業して、中学校、高校と上がっていくにつれて、ぼくを「にんじん」と呼ぶ人はだんだん減り、ついにいなくなった。それはたぶんぼくの風貌の変化によるものだと思う。部活で始めたアメリカンフットボールのせいで、ぼくの体は大きくなり、髪を短く…

文書1(村上春樹ブッククラブに参加して②)

課題図書:『スプートニクの恋人』 私は今、語れば長い運命のとりあえずの帰結として、東京の小さなアパートの一室にいる。時刻は午前4時少し過ぎだ。もちろんまだ夜は明けていない。ワールドカップの試合を応援していた善良な人々はやっとベッドに入って夜…

八乙女光に魅せられて(舞台『薔薇と白鳥』感想③)

クリストファー・マーロウはかわいそうな男だ。 最後に殺されるからじゃない。 ずっとずっと、かわいそうな男だった。 なぜだろう? 金がなくて、知り合いに無心し続ける情けない男。 住むところもなくて、酒場で仕事をするまでに落ちぶれた小汚い男。 好き…

脚本の1ページは忘れ去られて(舞台『薔薇と白鳥』感想②)

「かたいこと言うなよ。芝居なんてどうせ全部うそっぱちなんだから。」 娼婦街のジョーンの部屋にいるマーロウ。手すりにつかまって空を見ている。 そこにジョーンがはしごを使って窓から入ってくる。 マーロウ おい、そんな服着て梯子なんか登ったら破ける…

伏線を宝石のように散りばめて(舞台『薔薇と白鳥』感想①)

どうしてすぐに気が付けなかったのだろう。ヒントはあんなにたくさんあったのに。 あの時のマーロウに、あんなに豪華な薔薇の衣装を自分で用意できるはずがない。プライドの高いマーロウが、簡単に人のことを自分より才能があるなどと認めるわけがない。まし…