ヘイセイラヴァーズ

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マスカレードは基本的に終わらない(Hey!Say!JUMPライブDVD『DEAR.』感想①)

「ちょっとヘイセイジャンプのDVD買って来るわ。」

 十一月某日。まなちゃん(妹)は突然すっくとたちあがってそう言った。

 まったくノーマークだったそのグループ名に私ももちろん驚いたし、言った本人も目を丸くして驚いているようだった。

 何かに取りつかれたように、着ていたパジャマを速攻で着替え、裸足で近くのツタヤまで走って彼女が買ってきたDVDを私たちはその日夜中の三時まで見続けた。翌日も起きてすぐから、再生、一時停止、巻き戻し、チャプター、再生、チャプター、そしてまた再生。

その繰り返しで過ぎた二日間の強化合宿で大体ジャンプのメンバー九人について把握した私たちが最後に出した結論は、九人の一人一人がかけがえのない存在ということ。ありおかの言葉を借りるなら、みんな違ってみんないい、ということ。

 この結論ゆえの「推しの決められなさ」がジャンプの魅力……そして魔力だと私は思う。これがいわゆる「細かいニーズに誰かしらフィットしてくるよ問題」だ。(もちろんずっと前から一人を追いかけている人は超リスペクト。)

 九人という大人数がだれもキャラ被りしていないこの状況。そしてこちとら、体調、気分、その他モチベーションで大幅に男子に求めることが変わる不安定な女子である。「We are 女の子」と堂々と言おう。

山田の男らしさに身をゆだねたいときもある。やぶに甘えられたいときも、けーとの優しさに包まれたいときも、知念にいじめられたいときもある。人間だもの。女子だもの。しかも二十代前半の。ゆうとに殴られたいときも、ひかをなぐさめたいときもそりゃあるよ。ありおかだってもちろんありおかだし。

 この調子で全く一人にしぼれない。一目見た時から永遠の髙木推しを運命づけられたまなちゃん(妹)も、いのおに告白されたらどうするか頭をかかえ、まだ結論を出せずにいる。私はそれを笑えない。

 この九人の間で揺れる気持ちこそヘイセイジャンプへの愛なのだ。     

 などとと言いながら、つらいし一人にしぼりたい。まなちゃん(妹)からも「はっきりしないと向こうも困る」と言われているのでそろそろ。でも……うーん。エンドレス。

 私は思う。あの日一体何が彼女をツタヤに走らせたのだろう、と。そしてあの日彼女はツタヤから何を連れて来たのだろうかと。あの日ジャンプに出会っていなければ、いつも見ている景色は今とまったく違っているだろうと思うのだ。