ヘイセイラヴァーズ

本、舞台、映画、歌、短編小説、エッセイ、アイドル、宝塚歌劇、など、、、☺

とりあえずちゃぴちゃんのグッディポーズに乾杯!(宝塚月組『カンパニー』『BADDY』感想)

 「もう男女の恋愛だけを描く時代ではないのかもしれないな。」

 舞台上で社長(綾月せり)はそう言った。そんなのもちろんだ。

 性の曖昧さはずっと昔から人を魅了する要因となってきた。今に始まったことではない。それは例えばこの舞台の根幹をなす、美弥るりかの中性的な魅力のように。

 宝塚歌劇では、女性が男女を演じる。歌舞伎では男性が男女を演じる。森茉莉は「やおい」と呼ばれる男性同士の恋愛の小説を書いた。腐女子たちは自らの手でBL漫画や小説を量産し、読み回した。性別が曖昧なところに私たちはずっとどうしようもなく色気や萌えを見出してきた。

 性別だけではない。この舞台のセリフに「21世紀は文化、芸術、娯楽が入り乱れ、ブレイクスルーを起こす時代だ。」とあるように、ありとあらゆる境界線の突破は少しずつ、しかし確実に進んでいる。漫画が歌舞伎になったとき、メディアミックスという言葉がささやかれ始めた時にそんなことはとっくに気が付いているべきだったのだ。

 すべての境目が曖昧になったとき、この世界はどんな場所になっているのだろう。これまでも信じられないブレイクスルーを繰り返して今がある。この世界にもっと、アヴァンギャルドを。ブレイクスルーを。もう何が起こっても絶対に驚かないという決意を込めて。