ヘイセイラヴァーズ

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男女の友情は成立するかどうかについての考察(Hey!Say!JUMPライブDVD『DEAR.』感想⑥)

 ベッドから飛び起きて、私はおそるおそる周りを見渡してる。見慣れない壁紙、見慣れない家具。そして見慣れない子どもみたいなだいちゃんの寝顔。やばい、やってしまった。なにがどうなったんだっけ?思い出せない。こいつはなんでそんなにのんきに幸せそうな顔で寝てんの。いまいましい。

 落ち着こう、どうしてこんなことになってしまったのか。たぶん今夜の敗因は友情。男女の友情ってやつにだまされた。人を油断させガードをゆるませる、友情ってもんのせいで今私はこんなことになっている。終電を逃した私にだいちゃんは俺んち来る?って軽く聞いてきた。そして私もだいちゃんならいっか~、と思って普通についてきてしまった。ていうか思うでしょ。だってだいちゃんは友だちなんだから。しきいが低すぎる。でも実際は、まなちゃんが言うようにだいちゃんにお金を借りてでもタクシーで家に帰るべきだったんだ。

 だって部屋に着いたとたん、だいちゃんはしゃべらなくなった。全然さっきみんなでいた時みたいに話に乗ってくれないし、あんまり笑ってくれない。それどころか突然顔をのぞきこまれて目で語ってきやがった。そこでだいちゃんって男の子なんだなって妙に感心して目が離せなくなってしまったのは完全に私のミス。でもだいちゃんもだいちゃんだ。こっちのミス待ちするなんて、ひきょうものめ。

 とにかく早く帰らなくちゃ。今度こそタクシーでもなんでも捕まえて。

 服を集めながらふっと見た窓の外には都会の地上の星たちがキラキラ光ってる。宝石をまき散らしたみたいなそのロマンチックでかんぺきな夜景はものすごくきれいで、だいちゃんらしくなくて笑った。

 急に視界が白くなる。だいちゃんにシーツでくるまれて、そのまま体ごとだいちゃんの方を向かされる。肩越しに見えるその部屋は、けっこう広くてきれいでそれはだいちゃんらしい。だいちゃんが体を押し付けてくる。私は窓とだいちゃんにはさまれて身動きが取れない。冷たいし痛い。

 だいちゃんのばか。そう小さくつぶやくとだいちゃんはなんでだよって言い返してくる。いつもどおりに口をとがらせて目をうるうるさせて友だちみたいに。だけどいつもより優しい。そして私はそれが少しうれしい。どうしても、もうごまかせない。

 だいちゃんの顔が近づいて来るけど私の頭には涼介や侑李の顔が浮かんできてる。同じことになるにしてもあの人たちがよかったなあ、なんて。どうしてよりによってだいちゃんなんだろうってしつこく思ってる。

 だけどもう逃げられない。だいちゃんのくちびるが私に触れるまであと一センチ。これが触れたら私たちは今度こそもう友だちには戻れない。